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- 会社設立 失敗しない10のルール
こんにちは、ベンチャーサポート税理士法人の税理士の中村です。
一般書には書いていない会社設立時の注意点を物語形式で解説したレポート「物語でわかる会社設立10のルール」をe-Bookとして発刊し、e-Book大賞・最優秀賞をいただき、多くの起業家に読んでいただいたのが今から7年前のことになります。 当時と比べると、2019年起業の現状としては働き方の多様化が進んでおり、副業を含めて起業する人が多くなっています。
また、ベンチャーサポート税理士法人も会社設立をお手伝いさせていただいた件数も1万社と飛躍的に増え、税理士事務所としての規模も大きくなっていますが、「起業家を全面的にサポートする」という使命は今も微塵も変わっていません。
今回は、その当時のレポートを2019年版として更新し、e-Bookではなく、通常のインターネット記事として公開することにより、関連記事へのリンクページをご参照いただけたり、より多くの方に、より分かりやすく会社設立についての全貌を把握していただけるようにしています。
ぜひご一読いただければ幸いです。
はじめに
私が税理士・行政書士として、今まで1万社以上の会社設立のお手伝いをしてきましたが、その経験を通じて一つの事実に気付きました。
それは「会社設立には正しい設立と間違った設立がある」ということです。
そしてもし「間違った設立」をしてしまえば、何百万円という大きな損をしてしまうのです。「間違う」と言っても「法的に手続きを間違う」というわけではありません。 法的に間違ったら会社はできませんからね(笑)。
「間違った設立」とは、「法律的には問題なくても知らなかったために損をする」という意味です。 具体的には設立後の税金や助成金を考えた設立をしていないということです。 市販されている、いわゆる「会社設立の本」にはこういったことは書かれていないことがほとんどです。
そんな「間違った設立」をしないために絶対知っておかなければいけない10のルールを今回のレポートで書かせていただきました。 難しい表現を使わずに、ストーリー形式で書きましたので会社設立のことをあまりご存知ない方でも簡単にご理解いただけるかと思います。 また用語解説も随所に入れておりますのでご参照ください。
お役に立てるところがあれば幸いです。 そしてこのレポートが設立を目指す起業家のみなさんのお役に少しでも立てれば、日々会社設立の現場に立つ者としてはこの上ない幸せに思います。それでは夢を実現するためにぜひご活用ください!!
失敗しない!?会社設立のルール1 「資本金の額」
さて次は会社設立時の資本金の額。
Aさんはふと考え込みます。しかしこの決定が1年後にAさんを後悔させることになるのです。
時間は流れ1年後、Aさんの会社も無事第1期の決算を迎えました。 第1期は売上高こそ5000万円ほど上がりましたが、予想以上に厳しい業界の状況により少し赤字のフィニッシュです。 しかし、人件費以外は徹底的な経費削減を行ったので、Aさんとしてはそれなりに満足のいく第1期の数字です。 そして何より赤字なので税金はほとんど出ないはず・・・でした。Aさんは1000万円にしてしまったため、2年間の消費税、約400万円を損してしまったのです。
それにしてもこの話に出てくる会計事務所は、良くない事務所のようですね。 税金の額を決算終了するまで伝えないのは問題です。 概算であっても「いつ、いくらくらいの税金が出るのか」は早めに社長に伝えなければいけません。資本金が1000万円未満でも、 会社設立1年目・2年目から消費税の納税が発生するケース
スタートアップの期首から6ヶ月の期間で売上が1000万円、給与支払い額も1000万円を超えてくる会社もそう多くはありませんが、個人事業からの法人成りの場合には、超えてくる方も多くなってきます。 個人事業で、消費税の納税義務が発生するから法人成りしたのに、1期目がこの条件に該当してくると、二期目は消費税免税となりません。 顧問税理士がいない場合には、この辺りの情報を収集するのは難しく、二期目に入って消費税の申告書が送付され、なんで二期目から消費税がかかるのかと戸惑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。会社設立時から6ヶ月間の売上も給与も1000万円を超えることが想定される場合に対応策はないのか?
はい、実はあるんですよ。 具体的には、第1期の事業年度を7か月以下にし、2期目の事業年度を12か月にしておけば、第1期の開始から6か月の売上と給与支給額が共に1000万円を超えても、最長20か月の消費税免税を受けることができます。 ※これは「短期事業年度の特例」で前事業年度が7ヶ月以下の場合には特定期間とならないからです。 参考: >>特定期間の判定、国税庁HP【ルール1】 消費税の免税を受けるためには資本金は1000万円未満にせよ!
~用語解説 「資本金」~
資本金とは株式会社が株主から出してもらう事業の元手となるお金のことです。
経営者は株主から出してもらったこの「元手」を運用して利益をあげ、そのお礼として配当を渡すという仕組みになっています。
新会社法になり資本金の額の制限がなくなり1円から会社を始めることができるようになっています。 中小企業では株主が社長も兼ねる「オーナー企業」のことが多いですが、中小企業の社長が会社に自分のお金を入れるのには、他に「借入金」という方法もあります。 「資本金」と「借入金」との違いは、借入金は会社が返済する義務があるのに対し、資本金は返済するものではないという点になります。
また、どうしても最初の資本金がおおきくなってしまうという場合には、資本金の1/2までの額を「資本準備金」とすることで、資本金の額を実質減らすことができます。 一般的「株式上場」を目指す場合のベンチャー企業の場合、定期的に外部出資を募るため、資本金が膨らみ、消費税の1000万円という基準額を超えるのはもちろん、法人税法でいう大会社、つまり中小法人の特例の適用を受けられない資本金1億円超という基準さえ、すぐに超えてしまう可能性が高いため、資本金の1/2までを「資本準備金」に組み入れることを行っています。
~用語解説 「法人税」~
法人の1年間の利益に対して課税される税金。
狭い意味では国税の「法人税」を指しますが、 実務上は地方税である「法人住民税」と「法人事業税」の3つと合わせて呼ぶこともあります。
3つあわせた場合、法人の利益の約40%が税金として取られます。
赤字の場合は、「法人税」と「事業税」は0になり、「法人住民税」の均等割だけがかかってきます。 都道府県によって異なりますが、7万円~8万円の場所が多いようです。
~用語解説 「資本準備金」~
株主から払い込まれた資本金の1/2を超えない額を資本準備金として積み立てておくことができるものを「資本準備金といいます。
一般的には、会社の業績悪化等にこの「資本準備金」を取り崩すことで財産維持を可能にしていくためのものです。